睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる疾患のことで、肥満やのど・顎の骨格的な形状などが関与して、のどの空気の通り道が塞がることが主な原因です。
睡眠時無呼吸症候群は、その中等症以上を8年間放置すると死亡率が約37%(8年で100人中37人が死亡するということ)にもなるという報告があり、軽視すると怖い病気です。しかしきちんと治療すれば、健常人とほとんど生存率は変わらないと考えられています。
睡眠時無呼吸症候群の診断
睡眠時無呼吸症候群の診断は、まず問診で自覚症状や日頃の睡眠状況をお聞きすることから始まります。睡眠中や日中の気になる症状がありましたら、ご相談ください。
下記の3つの症状のうちいずれかがあれば、睡眠時無呼吸症候群が疑われます。
- いびきがうるさい
- 日中の眠気がある
- 朝起きると体が重たい
症状としてはほかに、次のようなものがあります。
- 倦怠感
- 熟睡感が無い
- 起床時の頭痛
- ED(勃起不全)
- 夜中に何回もトイレに行く
- 集中力や記憶力の低下
睡眠時無呼吸症候群の放置は禁物
睡眠時無呼吸症候群をきちんと治療しないで放置すると、交通事故や各種疾患(高血圧、糖尿病、不整脈等の心疾患、脳卒中)などを招く確率が大幅に上昇します。
職業や家事などの私生活にも何かと悪影響が出がちですので、何も手を打たずにおくことは禁物です。
家族や友人などの睡眠パートナーから、睡眠中の大きないびきや呼吸の一時的な停止を指摘されたことは無いでしょうか。もしあるとしたら、睡眠時無呼吸症候群が疑われますので、この疾患に詳しい医師を受診しましょう。
睡眠時無呼吸症候群の簡易検査
前記のような症状に心当たりのある患者様には、睡眠時無呼吸症候群の「簡易検査」をお勧めしております。お貸し出しした専用機器を使って、ご自宅で検査を行っていただき、当院でデータを解析いたします。睡眠時無呼吸症候群の診断、および症状の程度を測定するための検査です。
口と鼻に呼吸センサーを、指に血中酸素濃度を調べるセンサーをそれぞれ取り付けて一晩ご就寝いただき、時間当たりに10秒以上の無呼吸・低呼吸が何回生じるか、また同時に血中酸素濃度の低下が起こっているかどうかを調べます。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
治療法は、睡眠時無呼吸症候群を招いている原因、また個々の患者様の状態に応じて、下記のような方法のなかから選択されます。
CPAP療法
CPAP療法(Continuous Positive Airway Pressure=経鼻的持続陽圧呼吸療法、通称シーパップ)とは、鼻に装着したマスクから圧力を加えた空気を送り込むことによって、ある一定の圧力を気道にかけ、気道の閉塞を取り除いて無呼吸を防ぐ治療法です。中等症から重症の患者様にとても効果的で、ほとんどの患者様は、この治療を行ったその日からいびきをかかなくなり、朝もすっきりと目覚め、昼間の眠気も軽くなります。今や睡眠時無呼吸症候群の最も重要な治療法として、欧米や日本で広く普及しています。
マウスピース
就寝中の顎の位置を少し変えるだけで改善が見込めるような軽症レベルの患者様が適応になります。気道を広く確保するために、下顎を上顎よりも前に出るように固定します。専用のマウスピースですので、作製する際には専門の歯科医への受診をお勧めします。
生活習慣の改善
- 肥満の方は、減量のために食事を腹八分目に抑え、適度な運動を心掛けます。
- 寝酒はやめましょう。お酒は筋肉を弛緩させるため、気道の閉塞をさらに悪化させる可能性があるからです。
- 睡眠薬のなかには筋弛緩作用を有するタイプのものがありますので、服用にあたっては主治医にご相談ください。
外科手術
気道の塞がってしまう部位(アデノイドや扁桃肥大など)を、外科的に正常な状態に戻す治療が行われることもあります。