花粉症は多くの方が悩まれていると思います。適切な時期に適切な治療を行うことで症状が緩和されます。また慢性副鼻腔炎の手術は、大阪市立大学医学部附属病院勤務時には専門のひとつとして数多くの執刀をしてまいりました。手術が必要かどうか、手術の内容について症状に応じて説明いたします。また鼻内のポリープ切除など簡単な手術はクリニックでも行いますので、仕事が忙しく大きな病院に受診をして、手術のために入院することが困難な方などのご相談にも応じてまいります。
こんな鼻の症状はご相談ください
- くしゃみ
- 鼻みず
- 鼻づまり
- 鼻が痒い
- においがわからない
- 鼻や頬が痛む
- 鼻血
- いびき など
鼻風邪
風邪は、正式には「風邪症候群」と言い、鼻やのどに生じる急性炎症の総称です。主にウイルスが粘膜から感染して炎症を起こすため、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰、発熱などの症状を招きます。このうち、特に鼻の症状が強い場合を一般に「鼻風邪」と言っています。
ごくありふれた病気でありながらも、よく「風邪は万病の元」と言われるように、風邪を発端にいろいろな病気に進展しかねません。中耳・鼻・のどの病気は、そもそもは風邪に始まる感染性の病気が多いものです。たかが風邪と侮らず、症状が気になったら、早めに受診なさることをお勧めします。
症状
くしゃみ、鼻みず、鼻づまりほか、のどの痛み、咳、発熱、頭痛など。
検査
問診や診察を行って、他の病気ではなさそうだと判断できれば、風邪と診断します。しかし、風邪であれば通常は数日で治るので、それ以上の期間にわたって治らないような場合は、こじらせてしまっていたり、別の病気だったりする可能性があります。
治療
現れている症状(くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、発熱、頭痛など)に対して、それぞれの症状を軽くするための薬を組み合わせて処方します。症状を和らげる対症療法薬を上手に使いながら、体が自分の力で治るのを助けるのです。さらにウイルス感染に引き続いて起こりやすい細菌による二次感染を予防する目的で、抗生物質を使用することがあります。
アレルギー性鼻炎
アレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となる物質)を吸入することで、アレルゲン(抗原と言います)と抗体(自己の体内で作られます)が鼻の粘膜で反応し、鼻症状を招くのがアレルギー性鼻炎です。風邪と違って、のどの痛みや熱などは伴いません。アレルギー性鼻炎(通年性)の原因はハウスダスト(家の埃やダニの糞・死骸など)が多く、ペットの毛やフケ、カビも原因となります。スギ花粉やヒノキ花粉などが原因となる花粉症はアレルギー性鼻炎の一種です(季節性のアレルギー性鼻炎)。
症状
アレルギー性鼻炎の症状は、主として鼻と目に現れます。なかでも、くしゃみ・鼻みず・鼻づまりが、その3大症状です。
検査
まずは、鼻炎の症状がアレルギー性かどうかの鑑別が必要です。問診が重要で、典型的な鼻所見(鼻内が青白く腫れます)も参考として重要です。また、アレルギー性を疑った場合は、血液検査にて何が原因(アレルゲン)になっているのかを調べることもできます。非常に少量の血液で原因物質を特定できるイムノキャップラピッド®を導入しておりますので、お子様でも負担なく検査ができます。
治療
アレルギー性鼻炎の症状を軽くするには、とにかく家の埃、ダニの糞・死骸、ペットの毛やフケ、カビ、花粉など、アレルギーの元にできるだけ曝されないように工夫することです。その上で、抗アレルギー薬の内服や鼻スプレーで症状を抑えていきます。レーザー手術で鼻の粘膜を焼いたり、鼻の神経を切断する後鼻神経切断術が行われたりすることもあります。
スギとダニに対しては、スギやダニの成分を数年にわたり投与することで、スギやダニに対しての免疫力をつけてスギやダニに対するアレルギー反応を抑えていくアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)があります。数年にわたる治療ですので、開始前に医師と十分に相談が必要です。
※注意事項
初回はクリニックで投与し強いアレルギー反応が出ないか確認させていただきますので早めの来院をお願いします(午前診では11時位まで、午後診では18時位までに最初の診察を受けられるように受診してください。その後薬局で薬を受け取りクリニックに戻っていただき初回投与をします。その後30分経過観察します。)。スギに対してはスギ花粉が飛散していない6~12月に開始します。
2日目以降は数年にわたり自宅で毎日継続します。
投与前後2時間は強い運動や入浴は避けてください。そのため現実的には小学校中学年以降での開始が望ましいと考えています。
慢性副鼻腔炎
急性副鼻腔炎が治り切らずに慢性化したものを慢性副鼻腔炎(蓄膿症)と言います。慢性化するのは、鼻と副鼻腔をつないでいる小さな穴が、細菌感染による粘膜の腫れによって閉じてしまい、副鼻腔に溜まった膿が鼻腔へと排泄されにくくなるからです。
症状
粘り気のある鼻汁が絶えず出てきて鼻がつまり、鼻呼吸がしにくくなります。通常、症状は両側に現れます。そのほか、鼻汁がのどにまわる(後鼻漏)、においがわからない、頭痛、顔面の痛みなどの症状がみられます。
検査
X線検査や、必要に応じてCT検査が行われます。内視鏡を用いて、鼻の粘膜を直接観察することもあります。
治療
鼻汁の除去、洗浄、症状に応じて抗菌薬の投与などを行います。マクロライド少量長期療法はマクロライド系の抗菌薬を半量で投与することで薬の抗菌力に期待するのではなく免疫力を高めることで改善を促していく治療です。通常3ヶ月程度の治療をお勧めしております。薬物療法の効果が乏しい場合は、内視鏡手術を検討します。
鼻出血
鼻、特に鼻腔からの出血のことで、一般には鼻血と呼ばれます。
検査
鼻の中をよく観察し、どこから出血しているのかを確認します。鼻の奥からの出血の場合、鼻腔用ファイバーを用いて出血部位を確認します。血液検査などを行うケースもあります。
止血方法
鼻出血の大半は「キーゼルバッハ部位」という場所からのものです。キーゼルバッハ部位は、鼻に指を少し入れた時に指先が内側(鼻中隔)に触れる部分です。ここは薄い粘膜でできているうえ、たくさんの毛細血管が網の目のように走っているので、ちょっと傷がついただけで出血をきたします。この出血を止めるには、親指と人差し指で小鼻をつまんで圧迫するのが、簡単かつ効果的です。
鼻血が命にかかわるようなことはまずありませんが、出血がなかなか止まらなかったり、出血量が多かったりした場合、また鼻血を頻繁に繰り返すようなら、出血部位を焼灼凝固止血をしたり、出血点がわからない場合はガーゼを挿入して圧迫します。
嗅覚障害
鼻がつまっているわけでもないのに、鼻が十分に利かなくなり、においがわかりにくくなる疾患を嗅覚障害と言います。
症状
においが感じられなくなります。本来のにおいとは違うにおいがする、みんな同じにおいがする、といった症状が出ることもあります(異嗅症)。
検査
原因を調べるために問診、内視鏡検査、画像検査などが、また嗅覚障害の程度を調べる嗅覚検査などが行われます。
治療
原因によって、治療法もそれぞれ異なってきます。
嗅覚障害は原因によって、下記のように呼吸性、嗅粘膜性、混合性、中枢性の4つに分類できます。
呼吸性
においの分子が嗅粘膜というセンサーまで届かない状態で、鼻づまりやアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎(全体の4割程度)などが解消されれば、すぐに嗅覚は戻ります。
嗅粘膜性
風邪ウイルスなどによって嗅粘膜、つまりにおいのセンサー自体に障害が生じている状態です。治療としては、神経を活性化させるために、ステロイド剤の点鼻や、神経を活性化させるビタミンB剤の内服が中心になります。
混合性
呼吸性と嗅粘膜性が同時に起こった病態です。
中枢性
頭部外傷などによる神経損傷が原因で、現在のところ有効な治療法は見つかっていません。