“のどかぜ”は扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎など重症度の高い疾患になっていることもあり適切な診断と治療が大切ですので、お早めに受診してください。
また、大阪市立大学附属病院勤務時には頭頸部腫瘍(耳鼻いんこう科領域の腫瘍)の治療を専門とし、がん治療認定医の認定も受けております。最新のファイバーとエコーを導入し、これまで数多くの頭頸部腫瘍を治療してきた経験を基に、速やかに適切な診断を行い、早期に治療が受けられるようにしてまいります。頭頸部腫瘍の治療は手術が中心となるため高度の専門病院でしか行えませんので適切な病院をご紹介いたします。しかし表層の小さい腫瘍の摘出などは当院でも行えますので、腫瘤性病変(できもの)で気になることがあればお気軽にご相談ください。また言わずと知れたことではございますが、癌は早期発見が大切です。喉頭癌、咽頭癌や舌癌などに不安を感じましたらしっかりチェックいたしますのでご来院ください。
こんなのどの症状はご相談ください
- のどが痛む
- のどに違和感を覚える
- のどにつまり感がある
- のどが腫れた
- 口の中が乾燥する
- 口臭がある
- 咳が出る
- 呼吸がゼーゼーする
- 声がかすれる
- いびき、睡眠時の無呼吸がある
- 飲み込みが悪い など
のど風邪
風邪は、正式には「風邪症候群」と言い、鼻やのどに生じる急性炎症の総称です。主にウイルスが粘膜から感染して炎症を起こすため、のどの痛み、咳、痰、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、発熱などの症状を招きます。このうち、特にのどの症状が強い場合を一般に「のど風邪」と言っています。
ごくありふれた病気でありながらも、よく「風邪は万病の元」と言われるように、風邪を発端にいろいろな病気に進展しかねません。中耳・鼻・のどの病気は、そもそもは風邪に始まる感染性の病気が多いものです。たかが風邪と侮らず、症状が気になったら、早めに受診なさることをお勧めします。
症状
のどの痛み、咳ほか、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、発熱、頭痛など。
検査
問診や診察を行って、他の病気ではなさそうだと判断できれば、風邪と診断します。しかし、風邪であれば通常は数日で治るので、それ以上の期間にわたって治らないような場合は、こじらせてしまっていたり、別の病気だったりする可能性があります。
治療
現れている症状(のど痛み、咳、発熱、頭痛など)に対して、それぞれの症状を軽くするための薬を組み合わせて処方します。症状を和らげる対症療法薬を上手に使いながら、体が自分の力で治るのを助けるのです。さらにウイルス感染に引き続いて起こりやすい細菌による二次感染を予防する目的で、抗生物質を使用することがあります。
急性扁桃炎
急性扁桃炎とは口蓋垂の左右に1個ずつある口蓋扁桃に、ウイルスや細菌による急性の炎症が起こる疾患です。年に3〜4回以上、この急性扁桃炎を繰り返すようなら、慢性扁桃炎と診断されます。
症状
風邪のような症状(高熱や寒気、頭痛、全身倦怠感、関節痛)と強い咽頭痛が現れます。のどの奥を見ると、両脇が赤く腫れているのが観察されます。
検査
症状を把握し、扁桃の状態を観察します。適切な抗生剤投与のために、扁桃の細菌培養検査を行うことがあります。
治療
ウイルス性の扁桃炎の場合は、一般に風邪をひいた時と同様の治療を行います。解熱剤を服用し、よくうがいをし、安静にすることで、通常は1週間程度で治ります。
細菌性の扁桃炎の場合には、抗生剤の投与が標準的な治療で、症状をやわらげるために解熱剤や消炎鎮痛薬、うがい薬などを処方します。慢性扁桃炎で薬物療法を行っても改善しない場合は、扁桃を切除する治療を検討します。
急性咽喉頭炎
咽頭に炎症が生じた状態です。風邪、インフルエンザなどによるウイルス・細菌感染、刺激ガスや粉塵の吸入、喫煙、声の酷使などによる粘膜の炎症が原因となります。
症状
のどの痛みや痒み、声がれ、咳、痰などの症状を呈します。重症化すると急性喉頭蓋炎などを合併し、窒息のおそれも生じるので、呼吸困難が伴う場合は要注意です。
検査
喉頭鏡やファイバーにより咽喉頭の観察を行い、炎症部位や程度を把握します。気道狭窄が無いかどうかも確認します。
治療
風邪に準じた全身的な治療や対症療法、吸入治療などを行います。重症化して気道狭窄がみられる場合は、抗生剤の点滴投与をします。外科的処置(気管切開)が必要になるケースもあります。
扁桃周囲膿瘍
急性扁桃炎に続いて起こり、口蓋扁桃(こうがいへんとう)の周囲に炎症が及んで扁桃周囲炎が発症します。さらに菌が膿のかたまりをつくると、扁桃周囲膿瘍と呼ばれる状態になります。若い成人男性に多くみられます。
症状
のどの腫れ、痛み、発熱が生じ、膿瘍を形成するに及ぶと、顎(あご)が開きにくい、発音しづらい、のどの片側面が強く痛む、飲み込みにくい、強い口臭などの症状が現れます。
検査
血液検査、CT検査、頸部の超音波検査などが行われます。
治療
抗菌剤を用います。抗菌剤がよく効かないような場合は、膿瘍に穿刺(せんし)や切開をして排膿処置をすることがあります。
急性喉頭蓋炎
のどの奥にある喉頭蓋(こうとうがい)という部分に炎症が起きた状態です。喉頭蓋が急激に腫れるため、ひどい場合には窒息に至る危険性があります。かつては子どもによく起こると言われていましたが、成人、高齢者にもみられます。通常は細菌感染が原因で、そのほとんどはインフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは異なります)です。
症状
はじめに激しいのどの痛み、飲み込む時の痛みなどがみられます。やがて呼吸困難や喘鳴(ぜーぜーする)が現れてきます。さらに進行すると、呼吸困難をきたし、窒息に至ることもあります。
検査
喉頭鏡やファイバーなどを用いて、喉頭蓋の腫れを確認します。
治療
窒息する可能性のある危険な病態ですので、とにかく窒息しないように、気道を確保することが重要です。窒息の危険がある場合は、口から管を入れたり、のどの一部を切って管を入れたりします。呼吸困難が無い場合は、細菌感染に対して抗生剤、腫れを軽くするためにステロイド薬、のどの奥の空間を広げるために気管支拡張薬を投与し、呼吸困難が生じないかを厳重に観察しながら治療します。
口内炎
口内炎は、口の中やその周辺の粘膜に起こる炎症の総称です。
ビタミン不足、疲労やストレス、口の内側を噛むなど、様々な原因で起こり、口の中の粘膜であれば頬の内側や唇の内側、歯ぐき、舌など、どの部分にもできます。全身疾患の一つの症状として起こるケースもありますので、口の中のどこにできているか、多発していないか、繰り返していないか、治りにくくはないか、などを総合的に判断する必要があります。
症状
口内炎ができると、熱いものや冷たいものがしみたり、食べ物が触れただけでも痛みが強まり、食事を摂れなくなったりすることがあります。
検査
全身性の病気が疑われるような場合は、血液検査などが行われる場合があります。
治療
ステロイド軟膏や抗菌薬などによる薬物療法、ビタミン剤投与などが行われることがあります。原因疾患がある場合は、その治療を行います。
味覚障害
味がまるでわからなくなったり、味覚が鈍磨したり、本来の味とは違った妙な味に感じられたりする障害です。口が苦い、塩辛いなどと訴える自発性の異常味覚もあります。
高血圧薬、抗生物質ほか、各種薬剤の長期にわたる使用によって生じる薬剤性の味覚障害がよくみられます。
症状
甘味、酸味、塩味、苦味、旨味などの味覚が低下したり、何を食べてもまったく味を感じなくなったりすることもあります。また、口の中に何も無いのに塩味や苦味を感じたり、何を食べてもまずく感じられたりすることもあります。
検査
症状に応じて、味覚検査や血液検査などが行われます。
治療
薬剤が原因で味覚障害が起こっているような場合には、医師に相談のうえ、服用の中止または副作用の無い薬剤への変更をしてもらいます。血液中の亜鉛不足により、舌の表面にある味を感じる細胞(味蕾)の新陳代謝が十分に行われなくなるために起こることもしばしばですが、その場合は亜鉛を補給する治療を行います。舌にカビが生えていて、痛みを伴ったりする味覚障害も稀に見られますが、そうした場合は、カビを除去する治療を行います。
耳下腺炎・顎下腺炎
唾液をつくる耳下腺(耳の前から下にある)、および顎下腺(顎の下にある)に炎症が生じた状態で、いろいろな原因で起こります。主な原因はウイルスや細菌の感染です。ウイルス性の代表的なものとしては、流行性耳下腺炎、いわゆる「おたふく風邪」があります。唾液腺炎を発症すると、抗菌作用、粘膜保護作用、消化作用など、唾液のもつ機能が低下します。
症状
炎症部位の痛み、口の中の乾燥、唾液の減少、発熱、寒気などがみられます。
検査
血液検査や画像検査(超音波検査、CT検査など)が行われます。
治療
細菌性のものに対しては抗生物質を用います。ウイルス性に対しては、全身的には安静と解熱薬の投与、局所的にはアイシングとうがいを行います。
頸部リンパ節炎
リンパ管は全身に張り巡らされていますが、その節々には豆のような形をしたリンパ節があり、細菌感染などから体を守っています。
くび(頸部)にもたくさんのリンパ節があり、口や咽喉からの細菌などの侵入に備えています。このリンパ節が炎症を起こして腫れた場合を、頸部リンパ節炎と言います。
多くは口や咽喉の細菌感染による炎症ですが、ウイルス感染や結核などによる場合もあります。
症状
細菌の感染によるものでは、歯や口、咽喉の痛みなどの先立つ症状があり、しばらくしてから、首に痛みのある腫瘤(こぶ)が触れるようになります。多くは発熱を伴います。悪性腫瘍からくる腫れの場合は痛みが無く、リンパ節が硬くなって、しこりのようになります。
検査
血液検査や超音波検査、画像検査などが行われます。リンパ節の細胞を採る検査が必要になることもあります。
治療
消炎鎮痛剤などによる対症療法が主体になり、症状が強い場合はステロイドを用います。細菌性の炎症では、抗生剤の投与が必要です。